本の概要
この本は、アメリカの組織心理学者であり、全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の教授でもあるアダム・グラント氏による著作です。
この本では、人間を
- ギバー:人に惜しみなく与える人
- テイカー:真っ先に自分の利益を優先させる人
- マッチャー:損得のバランスを考える人
の3種類に分類し、その中でも特に「ギバー」に注目しています。
そして、ギバーが持っている数多くの才能、例えば
- ゆるい人脈づくりができる
- 利益のパイを増やせる
- 才能ある人を見つけ、育てられる
- 独特なリーダーシップを発揮できる
といった点について、実例を交えて詳しく解説されています。
その一方で、著者はギバー・テイカー・マッチャーの中でギバーが最も成功する可能性があるものの、最も失敗する可能性もあるとも述べています。
それを踏まえて、本の後半ではギバーが成功するためのアドバイスが解説されています。
ギバーが他人にいいように利用されたり、燃え尽きてしまうことなく成功を手に入れるには、
『自己犠牲的なギバーではなく、他者志向のギバーになること』
が必要だと著者は主張しており、この部分が本書の中で最も重要な部分です。
この本の良かった点と不満点
良かった点
・数多くのデータや事例に基づいた主張がなされており、非常に説得力がある
・ギバーの背中を押し、勇気づけてくれる内容である
・ギバーが成功するためにはどうすれば良いかという、具体的な解決策まで踏み込んで書かれている
不満点
・具体例とその登場人物の数が多く、読んでいる途中で混乱しやすい
・かなりのボリュームがあり最後まで読み切るのが大変
・読者にとって重要で実用的な情報が本の後半に集中している
この本の中で印象深かった点
他人に与えるだけでなく、自分自身も大切にする
著者はギバーが成功するためにはいくつかの注意点があると主張しています。
その一つは、
「他人を思いやる心だけでなく、利己心も大事にすること」
です。
ギバーはついつい他人に尽くし過ぎて自分を犠牲にしてしまう傾向があります。
そのため、頑張っているうちに気が付いたら限界を超え、燃え尽きてしまう危険性が高い。
他人にだけ尽くすのではなく、自分自身も大切にしつつ他人にも与えることができれば、心身の健康を犠牲にすることはなくなる、とのことです。
とはいえ、自分を大切にしながら他人に与えるのは難しい…と思う人もいるかもしれません。
そんな人向けに、具体的に意識すべきことが2点書かれていました。
・ボランティア活動は年間100時間までを目安にする
・義務感からではなく、自分が楽しく有意義だと感じることで他人に与える
どちらも入念な調査結果に基づいた結果であり、この基準を守ればギバーの人は燃え尽きることなく大きなエネルギーが得られるそうです。
私自身もギバーの傾向があり、つい自分のことは後回しにして人助けばかりしては疲れたり自分の時間を失ったりしていました。
今後は、ぜひこの基準を取り入れて活かしてみたいと感じました。
仲間の代理人になることで、ギバーは成功できる
ギバーは謙虚な人が多く、自己主張すると相手を嫌な気分にさせるのではないかと不安になるため、自分の意見や要求を主張するのが苦手なことが多いです。
交渉では自分は控えめな要求にとどまる一方、相手の要求は言われるがまま受け入れてしまう。
結果として、テイカーやマッチャーに比べて損をしてしまうことが多い。
それではあまりにももったいないです。
では、どうすればギバーがためらいを感じることなく、かつ対等に交渉することが可能になるのか?
その答えとしてこの本に書かれているのは、
・自分ではなく他人のために交渉する
・自分自身を仲間に代わって交渉する代理人だと考える
です。
例えば、ビジネスの交渉で相手の要求が自社の不利益につながるものである場合、自分は「自社の社員の代理人」だと考え、会社の人達のためにその要求を断る。
このように、家族や職場の同僚といった自分の仲間のためであれば、ある程度強引な主張でも自分勝手な行動には該当しません。
自分だけのためではなく、あくまで「仲間」という他の人の権利や利益を守るための正当な主張であり、ギバーの信念に沿った行動と言えます。
このようなスタンスであれば、ギバーは恐れることなく相手と対等に渡り合うことができ、正当な利益を得ることができる!
そして、ギバーなりの成功に繋がるはずです!
私自身も交渉事が非常に苦手で、なかなかうまく自分の要求を主張できないことが多かったです。
この「自分自身を仲間に代わって交渉する代理人だと考える」という方法は、世の中で生きる非常に多くの人にとって有用だと思います。
せひ皆さんにも試してみてほしいです。
まとめ
今回の記事では、【GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代】の本を紹介しました。
他人に惜しみなく与える人、すなわちギバーは他人だけでなく自分自身も大切にすれば大きな成功を掴める、ということを教えてくれる本です。
きっと得るものは大きいと思いますので、ぜひ読んでみて下さい!