本の概要
この本は主に中学生や高校生を対象に、自分の将来の働き方について考えてもらうための本です。
親御さんが子供へのプレゼントに買ってあげると非常に良いと思います。
とはいえ、既に社会に出て働いている社会人が読んでも得るものが多い本となっています。
監修はかの有名な池上彰さんです。
各章の冒頭にはストーリー仕立てのマンガがあり、それ以外でもイラストがふんだんに盛り込まれているので、本が苦手な人でも大変読みやすいと思います。
全6章の構成で、各章のテーマは下記に示す通りです。
- そもそも仕事とは何か
- 様々な種類の働き方
- 仕事と「好き」「得意」の関係
- 仕事と幸せ
- 未来の働き方
- 仕事と人生
また各章の終わりには、一般の社会人の方々から寄せられた沢山のコメントやメッセージが掲載されており、自分の働き方を考えていく上で非常に参考になるでしょう。
この本の中で印象深かった点
仕事とは「誰かの役に立つこと」である
「仕事とは何か」と言われて上手く即答できる人は少ないのではないでしょうか。
お金を稼ぐ手段、自己実現の手段、家族を養う手段、…
人それぞれ様々な答えがあるとは思います。
ですが、社会に出て働いているうちに「そもそも仕事の本質って何だっけ?」とよく分からなくなりがちです。
自分ができることをして誰かの役に立ち、社会に貢献する。
それによって、助け合いで作られるこの社会の一員になる。
これが、この本が提示している私達が働く理由です。
私達はつい目の前の仕事をこなすことに必死になりがちですが、仕事は誰かの役に立つこと、そしてどんな仕事も誰かの役に立っていることを改めて意識すれば、明日への活力になる。
そんなことに気付かせてくれる本です。
「好き」を活かせる仕事は1つだけではない
子供達はよく「サッカーが好きだからサッカー選手になりたい」「マンガが好きだからマンガ家になりたい」ということを口にします。
もちろんそういう夢を持つのは素晴らしいことです。
ですがこの本では、ちょっと意地悪な言い方ですが、子供達は世の中にある仕事をよく知らないからこれら知名度の高い職業に憧れるのだと指摘しています。
私も確かにその通りだと思います。
とはいえ、自分の「好き」を活かせる仕事は無数にあります。
サッカーが好きな人はサッカー選手以外にも
- スポーツトレーナー
- 用具開発者
- スポーツ記者
- チームの広報
など様々な道がある。
マンガが好きな人はマンガ家以外にも
- 編集者
- 書店員
- デザイナー
など様々な道がある。
この本はそんなことを教えてくれます。
子供はまだ社会とのつながりが薄く、イメージできる仕事の選択肢が少ないです。
この本を通じて、早いうちから「世の中にはこんなに色々な仕事があるんだ」と視野を広げておくことは、子供達の人生に非常に役立つだろうと感じました。
キャリアプランのポイントは「偶然」
第4章の中で、最初に思い描いたキャリアプランをその通りに実現できる人は少なく、キャリアの多くは予期せぬ偶然で決まる、ということが述べられています。
意外だと感じる人が多いのではないでしょうか。
その上で、
- 好奇心
- 持続性
- 柔軟性
- 楽観性
- 冒険心
の5つの要素を持ち、それに沿った行動をしている人は、良いキャリアにつながる素敵な「偶然」を掴み取れる、と書いてあります。
確かに今の私の仕事も偶然がもたらしたものであり、全く予想していなかったものです。
人生には色々な紆余曲折があり、将来どうなるかは誰にも分からない。
でも、ここで示した5つの要素を持って積極的に行動している人にはきっと良い偶然が舞い込む。
それを知ることで、きっと子供達は自分の将来に対して前向きになり、仕事へのやる気につながると思います。
主体的な生き方、働き方とは
第5章の「人生100年時代の生き抜き方」という項目の中には、私がこの本を読んで一番印象に残った一文があります。
それは下記の文章です。
企業に就職したら定年退職まで仕事をし、老後は人生の残りと考えるのは、自分の生き方を人にゆだねる消極的な生き方ともいえます。
なかなかに痛烈なことが書いてあります。
子供達よりも、既に社会で働いている我々の心に刺さりそうな一文です。
これを読んでドキッとした人も多いのではないでしょうか。
一昔前であれば、最初に就職した会社でずっと働き、会社に指示された通りのキャリアを送ることが安泰だったのかもしれません。
でもこの先、社会の変化のスピードがどんどん速くなっていく中では、そんな依存的な働き方、生き方は通用しなくなるでしょう。
社会に出てからも常に自分の人生を考え、行動し続け、自分を成長させていく。
そういう主体的な姿勢を既に社会人である我々はもちろん、これからの時代を生きていく子供達にも身に付けていってほしいなと感じました。
まとめ
今回の記事では、「なぜ僕らは働くのか-君が幸せになるために考えてほしい大切なこと」の本を紹介しました。
子供達が将来働く上での参考として役立つのはもちろん、社会で働く大人が自分の働き方を改めて見つめ直すきっかけにもなる本です。
ぜひ親子で読んでみてください!