HSP

HSPに研究職は向いているのか?

HSPにとって仕事選びは大きな悩みの一つだと思います。

HSPに向いている仕事の一つとしてよく研究職が挙げられますが、実際の所どうなのか?

結論から先に言うと、現役の研究職として働いているHSPである私の意見は

「ケースバイケースであり、HSPに特別向いているとは思わない」です。

その理由を今回の記事では詳しく書きましたので、研究職に興味があるHSPの人はぜひ参考にしてみてください。

研究職には2種類ある

まず初めに、研究職と一口に言っても大きく分けて2種類の系統があります。

1つ目は、大学教員。

研究職と聞いて多くの人がイメージするのがこちらでしょう。

2つ目は、一般企業や公的機関(水産試験場、森林研究所、環境科学センターなど)の研究員。

なかなか表に出てくることがなく、世間的な知名度は低いかもしれませんが、意外と多くの人が働いています。

私自身は2つ目の一般企業の研究員に該当し、環境分野の研究に携わっています。

一方で1つ目の大学教員の方とも仕事上接することが多く、そちらの現状もある程度把握しています。

この2つの研究職はかなり毛色が違うので、別々にHSPの向き不向きを考える必要があります。

そこで、2種類の研究職に共通する部分と異なる部分に分けて、私から見たHSPに向いている点、向いていない点を紹介します。

「大学教員」と「一般企業や公的機関の研究員」の両方に共通

HSPに向いている点:一人の作業時間が長い

研究以外の業務もあるとはいえ、研究職は基本的に一人で作業をする時間が長いです。

  • 研究の計画を考える
  • 実験室で手を動かして実験する
  • 実験データを整理して考察する
  • 論文や報告書を書く

いずれも一人でじっくり時間をかけて取り組む作業です。

他人に邪魔されずに一人で黙々と作業をするのが得意なHSPには向いている点だと思います。

HSPに向いていない点:様々な人と関わる必要がある

研究職と言うと世間的には「あまり人と関わる必要がない」というイメージがありますが、全然そんなことはありません。

数学系のようなごく一部の分野や、何十年も昔の研究者であればほとんど人と関わらなくても良かったかもしれません。

でも現代の研究者は頻度は少ないとは言え、社内外含め様々な人と接し、やりとりする機会があります。

例えば、学会に参加すれば様々な研究者の人と会話し、意見交換することが求められます。

もちろん営業職とかに比べれば頻度は少ないかもしれませんが、それなりの対人スキルは必要です。

コミュニケーションに苦手意識のあるHSPにはちょっと大変かもしれません。

大学教員の場合

HSPに向いている点:教える仕事である

大学教員は研究者でありながら教育者でもあるため、教える機会の多い職業です。

  • 学部や大学院の学生に対して授業をする。
  • 研究室やゼミの学生の指導をする。
  • 大学によってはチューター制度などで学生のサポートを行う。

こういった教える業務は

  • 相手の立場になって分かりやすく説明できる
  • 相手の気持ちを細やかに汲み取ることができる
  • 相手が何が分からないのかを正確に把握できる

といった素質のあるHSPには向いていると言えるでしょう。

HSPに向いていない点:業務量が多く、労働時間が長い

大学教員は研究だけ行えば良い訳ではありません。

研究業務に加えて大学の授業や学生の指導、学内外の委員会、入試の準備、学部の雑務など仕事内容がとにかく多岐にわたります。

そのため必然的に長時間労働になってしまいます。

もちろん大学や学部によっても違うとは思いますが、私が大学時代に所属していた研究室では、先生が夜の10時くらいまでいることも多かったです。

社会人になってから知り合った大学の先生は、平日では仕事が終わらないため土日も多少仕事をしているとのことでした。

大学教員の業務量の多さや労働時間の長さは、体力が少なく疲れやすい傾向のあるHSPには非常に大変だと思います。

一般企業や公的機関の研究員の場合

HSPに向いている点:裁量が大きい

私の実感として、一般企業の研究員は他の職種に比べて裁量が大きいと思っています。

締切さえ守ることができれば、仕事の進め方やペースを比較的自由に決めることができます。

専門性の高い仕事であるため、業務における創意工夫も通しやすいです。

会社によるとは思いますが、上から指示された研究に取り組むだけでなく、研究テーマを自ら提案することもできます。

他人に指図されずに自分のペースで働きたい傾向のあるHSPには向いている点だと言えるでしょう。

HSPに向いている点:比較的労働時間が短い

大学教員とは違い、一般企業の研究員は比較的労働時間が短いです。(もちろん会社によりますが、大まかな傾向として)

いわゆる「お客さん」と直接やりとりする職種ではないので、締切や納期に追われることはそこまで多くありません。

家族との時間や趣味の時間を確保しやすいでしょう。

まあ、中には研究が好きで好きでたまらなくてずっと仕事している人もいますが…

HSPに向いていない点:マルチタスクが求められる

研究職と言うと、一つの研究にとことん没頭する印象があるかもしれません。

しかし、一般企業の研究員は一つの研究テーマだけに集中して取り組めるわけではありません。

通常、複数の研究テーマを同時並行で進める必要があります。

自分が直接手を動かすだけでなく、実験補助員の方や共同研究先などに指示を出し、他の人をうまく動かしながら様々な研究をこなしていくことが求められます。

つまり世の中の多くの仕事と同じく、複数の業務を同時並行で進める必要があるのです。

マルチタスクが苦手なHSPにはそれなりに大変だと感じています。

そもそも研究職に就くのは非常に難しい

ここまで色々と書いてきましたが、何よりも重要なのは「そもそも研究職に就くのは非常に難しい」ということです。

大学教員は通常、定年や異動、退職などでポスト(枠)が空かないと採用してもらえません。

にも関わらず、そう簡単にポストは空かない。

そして空いたポストを巡って多くの人が競争するので、大学教員になるのはかなり大変です。

一般企業では、研究職の採用はその他多くの職種とは別であることが多いです。

一般採用で広く募集するのではなく、その企業の研究所が共同研究等でつながりのある大学の教授に打診し、その研究室の学生を採用する、という特殊な方法です。

中途採用もありますが、それも何かしらのツテを経由して採用されることが多いです。

どちらの場合も運要素が相当に絡んでくるため、研究職に就くのは実際には難しいことを理解しておいてください。

まとめ

以上、HSPに研究職は向いているのかどうか、私の意見を述べてみました。

HSPにとって向いている点、向いていない点をまとめると以下のようになります。

「大学教員」と「一般企業や公的機関の研究員」の両方に共通

〇 HSPに向いている点:一人の作業時間が長い

× HSPに向いていない点:様々な人と関わる必要がある

大学教員

〇 HSPに向いている点:教える仕事である

× HSPに向いていない点:業務量が多く、労働時間が長い

一般企業や公的機関の研究員

〇 HSPに向いている点:裁量が大きい

〇 HSPに向いている点:比較的労働時間が短い

× HSPに向いていない点:マルチタスクが求められる

HSPに向いている点と向いていない点の両方が存在するため、適正を一概に判断することはできません。

冒頭に書いた通り「ケースバイケースであり、HSPに特別向いているとは思わない」というのが私の意見です。

皆さん一人一人の価値観や得意不得意を踏まえて判断し、仕事選びの参考にしていただければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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